令和4年度 同窓会長の式辞

2023年3月13日

去る3月2日(木)卒業式に先駆けて行われました、

同窓会入会式にて同窓会長の渡邉典子先生より、

大変素敵な式辞をいただきました。

以下に抜粋ですが掲載いたします。(PDFでもご覧いただけます)

「式辞」

2023年 令和5年も、もう二ヶ月を過ぎました。今年は兎年で、ぴょんぴょん跳ねる姿から、飛躍の年にしたいと、お正月に初詣に行かれた方もあると思います。
初夢に七福神をみると縁起がよいとされますが、その中の、左肩に大きな袋を背負い、右手に打ち出の小槌を持ち、頭巾をかぶった大黒様の姿は皆さんもご存知でしょう。この、七人の神様に共通するものとして、耳が大変大きいことに気がつきます。また、お顔の割には口が小さく、おちょぼ口です。耳が大きいことは「人の話をよく聞きなさい」小さい口は「言葉には充分に気をつけなさい。」との戒めを表しているそうです。
 ところで、今、私たちを取り巻く社会は、明るいニュースより暗いニュースが多いように思います。海外では、ロシアによるウクライナ侵攻、トルコ・シリアの大地震、国内では、エネルギーや食料品などの価格高騰が続き、経済的にも精神的にも、心を曇らせる事柄が続いています。
 そんな中、卒業生の皆さんは、民法改正後初となる18歳の新成人になられました。「大人として持ちたい心構え」とのアンケートをとったところ、「行動に責任を持つ」と答えた人が最も多かったそうです。一方で、「最も関心のあること」の質問には、「クレジットカードを作る」がトップだったそうです。ただ、クレジットカードは大変便利な仕組みですが、魔法のカードではありません。若い世代を中心に投資詐欺にあったり、収入に見合わない高価な美容品を定期購入してしまった、などのトラブルの相談が増えているそうです。   
 また、1月の下旬には、ネット上で拡散された若者の悪質な行為に批判が集中した事件がありました。大手回転寿司チェーン店の店舗では、卓上の醤油差しの注ぎ口や未使用の湯飲みをなめる動画などが問題となりました。本人はちょっとしたいたずらのつもりだったかもしれません。しかし、このような行為は損害賠償といった経済的な損失のみならず、人間性を疑われることになります。ネットの記録は二度と消せない傷となり、その後の一生を台無しにするかもしれません。     
 さて、あと数日で、皆さんは入学や就職のスタートをきり、それぞれの夢の実現に向かって歩き始められます。しかし、中には、希望に溢れて入った学校や職場が期待していたものとは違っていた。「こんな筈じゃなかったのに・・・」と落胆したり後悔したり、また不安や焦りなど理屈で割り切れない思いにかられることもあるでしょう。しかし、御縁があったからこそ、あなたはそこに行くのです。簡単に諦めないで、石にかじりついてもという気持ちで頑張って欲しいと思います。しかし、どれほど頑張っても、一人では乗り越えられないほどの試練が待っているかもしれません。そんな時には、耳は大きく、口は小さくの七福神の心がけを持つとよいと思います。他人からの客観的な助言は、時に苦々しく、小うるさく聞こえるかもしれませんが、謙虚にその人たちの言葉に耳を傾けて欲しいと思います。
 人生はよく大海原の船旅に例えられます。凪の日もあれば、嵐の日もあります。その時々の状況の変化により生み出される現実という荒波に対応していかなければなりません。そんな時、自分ひとりの力だけで長い人生を乗り切れるでしょうか。「私は大丈夫、自分のことは自分が一番良く知っている」と声を大にして言いがちです。しかし、皆さん、鏡の前に立った自分の姿を想像してみて下さい。あなたの顔が映っています。不思議に思いませんか。一番身近にありながら、自分の顔は鏡を通さないと見ることが出来ないのです。同じように、私たちの生きざま自体も、自分では見えているようで見えていないのではないでしょうか。
 クレジットカードのトラブルを起こしたり、悪質動画を拡散したりした若者には、自分の姿が見えていなかった、助言を与えてくれる大人もいなかった、残念ながらそう思わざるをえません。
 卒業される皆さんは、コロナ禍の中の三年間、大変不自由な生活を送られました。、その体験から、個人の生活が、いかに社会の状況や環境に大きく影響を受けているかということを痛感されたことでしょう。同時に、人間は一人で生きているようにみえても、多くの人に、無意識に支えられ、互いに影響を及ぼし合い助け合って生きているということを、身を以て学ばれたと思います。そんな皆さんであれば、自分自身を大切にすると同時に、他者に寄り添うことが出来ると信じています。そうすれば、きっと明るい未来が開かれていくと思います。         
 皆様には本校での学びに誇りを持ち、10年後、20年後にも、胸を張って先生や友達に会える人であって欲しいと思います。
新会員の皆様の未来が希望にあふれ、幸多からんことを心からお祈り申し上げます。                          
         令和5年3月2日
        白梅同窓会 会長 渡邉典子

同窓会入会式 式辞令和5年3月2日 ← PDFはこちらからご覧いただけます

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