間もなく帰国! 米クラリンダ留学生

2013年6月3日

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間もなく(6/21)帰国する、佐伯紘乃さん(1列目右端)です。

レポートからは、10ヶ月間で大きく学び成長した様子が伝わってきます。クラリンダでの様子や、日本との違いに刺激を受けて感じたことが、紘乃さんの目を通して活き活きと報告されており、読んでいて引き込まれました。帰国の日を、皆で楽しみにお待ちしております!

「クラリンダでの生活」    佐伯 紘乃(平成24年度派遣留学生)

五月も中旬を過ぎ、数週間前まで続いた冬の寒さもやっと春の暖かさに変わってきました。三、四、五月はワシントンDCとニューヨークへの旅行やプロムをはじめとする学校行事が盛りだくさんの三学期でした。プロムは今まで経験したダンスの中で一番楽しかったです。その他にもChoir(合唱)のスプリングコンサートに参加したり、オマハでブロードウェイのライオンキングを見に行ったりしました。三学期の授業で一番好きなのがコミュニケーションです。主にスピーチをするクラスです。スピーチは私の苦手な事の一つで、毎回毎回緊張して上手く話すことができない時もありました。しかし、クラスの雰囲気がとても良く、私が話す内容に興味を持って聞いてくれるため、安心してスピーチをすることができます。そのクラスのおかげで友達が増えて毎日の学校生活が楽しくなりました。

 

私の英語力についてですが、確実に進歩したと思います。アメリカについてすぐはイエス・ノーでしか答えられず会話の途中でなんと返していいかわからなかったりして、会話することをとても恐れていました。間違えるのが怖くて話し出せなくて後で後悔したということは数え切れないくらいたくさんありました。それに一学期と二学期は片手で数えられるほどの友達しかできなかったため、一時は本当にくじけそうでした。どうにかその状況を打開したいと思い、三学期からは自分から話しかけてみたり会話を続ける工夫をしてみたりしたところ、いろんな学年の友達が出来ました。ここ数カ月でやっと自分から話しかけるということができるようになってきたかなと思います。恥ずかしくても間違えてもいいから、とりあえずやってみることが大切だなと感じました。最近は前に比べると会話が会話らしくなってきたかな、という感じです。しかし、まだまだ人前で英語を話すという点ではどうしても緊張してしまいます。コミュニケーションの授業では五回ほどスピーチをする機会があって、そのおかげで少しずつ改善してきていると思います。現地の人が話す英語は、教科書で習う英語とはずいぶん違います。

 

ワシントンDCとニューヨークへの旅行は本当に素晴らしいものでした。この二つの街はどちらもアメリカ東海岸にある大きな都市ですが、全く違った顔をしていました。ワシントンDCは巨大な歴史の教科書のような街でした。ニューヨークは誰もが憧れる街と言われるようにエンターテインメントと人の街でした。そのどちらも私の想像を遥かに超える感動がありました。ワシントンDCは先にも書いたように街全体がアメリカ史の教科書のようでした。博物館や美術館などに行きましたが、特に面白かったのが航空宇宙博物館でした。ライトフライヤー号やスピリット・オブ・セントルイスなど歴史的に有名な飛行機や、アポロ十一号や月の石の標本などを実際に見ることができて本当に面白かったです。スミソニアン博物館はどの博物館も本当にいつか全ての博物館に行ってみたいです。ニューヨークはまさに人種のサラダボウル、るつぼでした。世界中からの観光客と移民で溢れかえっているあの街は、すべてがエネルギーに満ち溢れていました。私は人生で初めて白夜を経験しました。タイムズスクエアです。そこ一体は昼夜にかかわらず電光掲示板からの光で照らされているため、夜中でも日中と変わらないほどの明るさでした。ニューヨークとワシントンDCに行って気になったことがありました。それはホームレスの人がたくさんいたことです。観光客で賑わうタイムズスクエアでもブロードウェイでも、ふと通りの隅を見ればホームレスの人が寒さの中で物乞いをしていました。それだけでも私には十分ショックなことだったのですが、そのホームレスの中に時折、退役軍人という人を見かけました。アメリカでは、戦争のせいでPTSDになった為に就職などができずにホームレスになっていく人が本当にたくさんいるそうです。賑やかな街の中でアメリカの暗い一面を見たような気がしました。

 

この留学で学んだことは英語以外にも本当にたくさんあります。特に面白かったことは二つあります。一つ目はアジア人に対するステレオタイプです。ステレオタイプと聞くと悪い印象がしますが、実際にアジア人や日本人に対するステレオタイプは「確かにそうだな」と思う部分も多かったし、何より自分たちはそんなふうに見られているのかと面白く感じました。しかし、ひとつだけ困ったステレオタイプがありました。それは「アジア人は数学が得意」でした。私はそれを友達に言われたとき、自分はアジア人じゃなかったのか、と苦笑いしました。とても面白い経験でした。

 

二つ目は日本について多く学んだと思います。私は去年の十二月七日まで、真珠湾攻撃が行われた日を知りませんでした。去年の十二月七日、私は学校のバスケットボールの練習試合を見に行きました。私は体育館の外で友達を待っていました。すると、試合が始まる前にアナウンスが入り国家が流れ始め、体育館にいた全員が起立し胸に手を当てていました。あの空気は今でも忘れません。私はその日が何の日であるかを知らなかったため、体育館の外からその様子を眺めていました。そのことをきっかけに日本史に興味を持つようになり、自主的に勉強を始めました。興味を持っていることを学習するのは本当に面白いことだなと言うのを実感しています。アメリカの若い世代、高校生や大学生について感動したことは自立心が強いということです。そして、政治にも強い関心を持っているということにも驚きました。昨年十一月にはアメリカの大統領選挙がありました。若い世代が政治に対する興味を持っている一つの要因は、国民が国のトップを決める投票に参加できるということではなかと思います。大統領選挙が近づくと、学校の授業でもどっちの候補者を支持しているかという話題で盛り上がっていました。日本でも総理大臣が変わり、日本が少しずつ変わろうとしています。この十ヶ月間で大きく変わったと思うのが為替レートです。五年前に初めてアメリカに来た時は一ドルが八十五円でした。そして昨年夏、アメリカに来た時は七十円代後半でした。今は一ドル百円を超えました。それが良い事なのか悪い事なのかなど詳しいことはよく分かりませんが、総理大臣が変わったというニュースを見てからほぼ毎日のように少しずつ少しずつ為替レートが上がっていくのを見て、日本で何かが変わっているということに感動しました。そして、今までは気にしなかった数字や話題に少し耳を傾けると、新しい視点から世界が見えるということに感動しました。

 

たくさんの人に出会い、新しい価値観に出会い、自分にとって本当に価値のある十ヶ月間でした。今までの生活や、自分を見つめ直すいい時間をもらったとも思います。この留学で学んだことは英語だけでなく先にも書いたようにその他のことがとても大きく、人間的に成長できたと思います。本当にいい経験をさせていただきました。

 

帰国まで1ヶ月を切りました。先週は今年の交換留学生であるNichole Hoyt(ニコール・ホイット)とキャンプに行き、楽しい週末を過ごしました。残りの時間を無駄にせず、やることをしっかりやって、思い出を作りたいと思います。

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